酵素とは、代謝など、体内で起きるさまざまな化学反応を円滑に行うために必要な触媒のことです。
酵素の作用を受けて反応を起こす物質のことを「基質」といいます。例えば、世界で最初に発見された酵素のアミラーゼは、でんぷんを分解してブドウ糖にするために必要です。この場合、アミラーゼの基質はでんぷんということになります。
また、体の中にはさまざまな物質が混在していますが、酵素は一定の基質だけに反応します。つまりサポートする相手を選択するわけです。これを「基質特異性」と呼びます。また、1つの酵素は1種類の化学反応しかサポートしません。これを酵素の「反応特異性」と呼びます。
●酵素の種類
酵素は基質特異性と反応特異性によって6種類に分類されます。
酸化還元酵素:体の中の無機物や有機物を酸化・還元し、物質代謝を助け、そこから発生するエネルギー(ATP)を作る。有害な過酸化水素を分解して酸素を発生させるカタラーゼなど。
転移酵素:1つの基質から他の基質へメチル基などのグループを移動させるのを助ける。
加水分解酵素:タンパク質、脂質、炭水化物をアミノ酸、脂肪酸、ブドウ糖に分解するのが代表的な働き。でんぷんを加水分解してブドウ糖に変えるアミラーゼや、脂質を脂肪酸とグリセロールに分解するリパーゼ、タンパク質を分解してペプチドやアミノ酸にするペプシンやトリプシンなどは消化酵素として有名。
脱離酵素:分子の二重結合を作ったり、また逆に二重結合を壊して他の原子と結びつける。別名「リアーゼ」。糖を分解するアルドラーゼや、TCA回路でATPを産生する過程で必要なクエン酸シンターゼなど。
異性化酵素:基質を異性体(分子式は同じでも化学構造が違うもので、もとの化合物とは異なった性質を示す)に変化させるもの。イソメラーゼともいいます。
合成酵素:ATPをエネルギー源として、2つの異なった基質を結合します。
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