腸内環境が悪いと免疫力が低下し、大腸ガンをはじめ、様々な病気の原因になったり、老化、肌荒れ、シミなどの美容面の症状、消化、便秘、肥満、疲れ、その他、身近な症状にも影響が出ます。
2014年6月25日水曜日
2014年2月3日月曜日
ビタミンA(β―カロテン、レチノール)
粘膜を強化し、体をすこやかに保つ
栄養素の効果を促進する潤滑油
ビタミンAとは、動物性食品に含まれるレチノールという脂溶性ビタミンのことである。また、植物性食品に含まれるβ―カロテンは野菜や果物に見られる黄やオレンジの色素だが、腸で吸収され、レチノールに変わるため、プロビタミンAと呼ばれている。
ビタミンAは視力を正常に保ち、消化・呼吸器官などの上皮細胞、皮膚や髪、歯茎の健康を保つ。免疫力を正常化し病気の回復させるほか、抗酸化作用もあり、細胞膜の損傷を防ぎ、肝臓がんなどがんの抑制や予防、心臓病の予防効果などもあり、注目されている。さらにビタミンB・E・D、カルシウム、リン、亜鉛は、ビタミンAが十分でないと効果を発揮せず、栄養素の潤滑油としても重要である。
レチノールは体内でそのままビタミンAとして肝臓に蓄積されるので、効果はすぐに現れるが、摂り過ぎると急性中毒症や慢性的な過剰症を起こす。その点、β―カロテンは、必要な分だけがビタミンAに変わるため、余分に摂取しても心配ない。いずれにしても、ビタミンA不足は、夜盲症、角膜乾燥症、角膜軟化症、皮膚乾燥、発育期では成長停止、知能障害などの欠乏症が現れることもある。成長期の子供や疲れやすい人には特に必要な物質である。
摂取方法について
レチノールを含む食品には、ウナギ、アナゴ、ギンダラなどがあり、β―カロテンは特に緑黄色野菜に豊富である。
1日の推奨量は、レチノール当量で男性は700~750μg、女性は600μg。上限量は男女とも3000μgである。体内では、12μgのβ―カロテンから1μgのレチノールが生成される。また、レチノールとβ―カロテンは1対1のバランスで摂取するのが理想的といわれている。どちらも脂溶性なので、油脂と一緒に摂ると吸収されやすくなる。
ただし、レチノールの過剰摂取は疲労感、吐き気、下痢、睡眠障害、食欲不振、肌荒れ、抜け毛などの症状をもたらすこともあり、特に妊娠中は胎児の奇形の要因ともなるので十分注意が必要である。
2013年9月19日木曜日
ファイトケミカル
ファイトケミカル
ファイトケミカルとは、植物や魚介類の色素や匂い、苦みなどのもととなる成分で、もともとは動植物が自身を紫外線や外敵から守るために作り出す成分です。
ファイトケミカルは5大栄養素には含まれませんが、第6の栄養素である食物繊維とならび、第7の栄養素として注目されています。現在わかっているだけで5000種類以上あり、成分の特定技術の進歩に伴い、今後ますます種類が増えていきそうです。
近年、ファイトケミカルが持つさまざまな機能性が注目され、免疫力や抗菌、抗炎症、抗アレルギー、抗がんなどの作用メカニズムの解明や有効成分の特定など、広い分野で研究が進められています。
<p><img src="http://media.tumblr.com/6e683a4a506a14399e1621c335a90449/tumblr_inline_mkmx051GVN1qz4rgp.jpg" alt="" /></p>
2013年9月17日火曜日
ビオチン
13.肌と髪を健康に保つのに欠かせない
ビオチン
アトピー性皮膚炎の原因を減らす
ビオチンは皮膚炎を治す実験から発見されたビタミンで、ビタミンHとも呼ばれる。
食物に含まれるビオチンはタンパク質と結合しているため、そのままでは吸収されないが、酵素によってタンパク質から分離されると吸収される。
また、腸内細菌によって合成、吸収されているビタミンでもある。
筋肉内で、ブドウ糖がエネルギーに変わるときに生じる乳酸が、肝臓や腎臓で再度ブドウ糖に戻る糖新生という反応を助けたり、脂肪酸合成、アミノ酸代謝などに関わっている。
細胞の成長やDNA合成を助け、血糖値の維持、毛髪や皮膚の健康維持にも効果がある。
ビオチンが不足すると、疲労感や食欲不振、湿疹、抜け毛、白髪などの症状が現れるため、微量でも毎日摂ることが大切なビタミンといえる。
最近はアトピー性皮膚炎に対する効果が注目されている。体内にアレルゲンが侵入すると、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、皮膚の炎症を引き起こす。
ビオチンにはこのヒスタミンのもとになるヒスチジンを体外に排泄する作用があり、アトピー性皮膚炎の原因を減少させると考えられている。
糖尿病に関しても、血糖値が高い患者ほど血液中のビオチン濃度が低く、ビオチンを補給することで改善が見られたという報告もある。
摂取方法について
ビオチンを多く含む食品は、レバーやイワシ、大豆、トウモロコシ、タマネギなど。
1日の目安量は45μgだが、多くの食品に含まれるうえ、腸内細菌によって合成されるビタミンなので、普段の食生活で不足することはない。
ただし、抗生物質を長期間服用したり、下痢が続いたりすると、腸内細菌が極端に減少することがあるので、その場合は意識的に摂りたい。カリフラワー約半個分、大豆4分の1カップでビオチン30μgが摂れる。
生の卵白に含まれるアビジンは、胃でビオチンと結合してしまい、ビオチンの吸収を阻害するが、卵焼き、目玉焼きなどに加熱すると卵白中のアビジンは破壊されるので、安心できる。
パントテン酸
12.エネルギー産生物質の主要成分
体内で化学物質を分解、中毒を予防
腸内の大腸菌の働きによっても合成されるパントテン酸は、ビタミンB群の仲間で、脂肪酸や糖がエネルギーになるときに欠かせない、代謝を助ける重要な補酵素の原料。
化学物質を解毒する働きもあり、例えば、パントテン酸を含む補酵素であるコエンザイムAには、除草剤や殺虫剤、薬剤に配合される多くの有害な化学物質に対して解毒作用があるとされている。
コエンザイムAは脂肪酸と結合して、最終的にアセチルCoAとなってTCA回路に入り、エネルギーを作り出す重要な物質だが、パントテン酸は、これを構成する主要成分でもある。
また、副腎皮質ホルモンの合成を促し、脂肪や糖の利用など数々の代謝経路に必要な成分と考えられている。さらに、免疫力や自律神経の働きを高める作用も認められている。
このパントテン酸不足による、足の焼けるような感じ、皮膚炎、不眠などといった症状は重度のビタミンB不足がない限り滅多に見られるものではなく、あまり神経質になる必要はない。
ただし、高齢者や酒を多量に飲み続けている人、コレステロール低下剤を服用中の人は著しく不足するとの報告もある。妊産婦や授乳中の女性なども、パントテン酸不足にならないように気をつけたい。
摂取方法について
パントテン酸はサケなどの魚肉、レバー、牛乳をはじめ、大豆(納豆)、ピーナッツ、キノコ類などあらゆる食品に含まれているため、日常の食生活の中で摂りやすく、極度の不足や、それによる欠乏症はほとんどない。
1日の目安量は男性で6�、女性で5�だが、これは、牛レバーで約3切れ、大豆で約2カップほどである。
しかし、加工食品に含まれるパントテン酸は、調理の過程でその50%が破壊されるため、摂取源としては未精製の穀類や朝食用シリアルがおすすめである。
酒やコーヒーを多く飲む人は、マルチビタミン・ミネラルのサプリメントなども利用し、多めに摂取するとよいだろう。
2013年9月16日月曜日
アスタキサンチン
10.日本人にはおなじみの魚介類に含まれるカロテノイド
アスタキサンチン
カニやエビの赤色色素
アスタキサンチンは、β―カロテンやリコピンなどと同じくファイトケミカルの1つであるカロテノイドの一種。
カニやエビの外殻、サケやマスの身、タイ、コイの体表、一部の藻類などに存在する天然赤色色素である。
特にエビやカニなど甲殻類の生体内では、タンパク質と結合しているため赤ではなく褐色るが、加熱するとタンパク質が変化してアスタキサンチンから分離するため、アスタキサンチン本来の鮮やかな赤色が現れる。
一般にアスタキサンチンは、カロテノイドの中でも、特に強い抗酸化作用を持つとされ、紫外線や脂質の酸化から生体を防御する因子として働いていると考えられている。
そのため、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を防止して動脈硬化のリスクを減らし、心筋梗塞や脳梗塞を予防するとされている。また糖尿病の進行を抑制する可能性も示唆されている。
さらに目を光障害から保護する作用があるとされ、例えばコンピュータなどを長時間使用することによる眼精疲労の改善、加齢性の眼病である白内障や加齢性黄斑変性症などの予防に効果があると考えられている。
そのほかにも抗がん作用や抗炎症作用、また肌の色素沈着を防ぐ作用などもあるとされ、今後の研究に期待が寄せられている。
摂取方法について
アスタキサンチンは、サケ、イクラ、エビなど日本人になじみの深い魚介類に豊富に含まれているので、それらの食材から摂取するのが一般的である。
例えば、いわゆる紅ザケ100gには、3�ほど含まれている。効果が期待できるアスタキサンチンの1日の摂取量は1�程度なので、1日に切り身一切れを摂れば十分ということになる。
またアスタキサンチンは脂溶性なので、揚げ物など油を使った調理法を工夫し、摂取すると吸収がよくなる。ただし、他のカロテノイド、特にニンジンやトマトなどと組み合わせて摂取すると消化管で競合し、吸収が悪くなる可能性がある。
2013年9月15日日曜日
ナイアシン
11.糖質、脂質の代謝に作用
ナイアシン(ニコチン酸)
LDL(悪玉)コレステロールも減らす
ナイアシンとはニコチン酸やニコチン酸アミドなどの総称であり、ビタミンB群の仲間の水溶性ビタミン。
ナイアシンは、体内で重要な役目を持つ酸化還元酵素の補酵素の構成成分として、糖質や脂質の代謝を促進する。
体内で必要なエネルギーのうち、60~70%はナイアシンを利用したものだといわれている。
他にも、血行改善、脳神経の働きを強める、心筋梗塞の再発を防ぐなどの効果がある。
また、ナイアシン含有のサプリメントには、ぜんそく患者の喘鳴(呼吸のゼイゼイ音)を起こりにくくする効果があるが、これは炎症を引き起こすヒスタミンを減少させる作用があるためだと考えられている。
さらに、正確なメカニズムはまだ明らかではないが、ナイアシンは、肝臓のコレステロール生成能力を低下させるともいわれている。
正しく用いればLDL(悪玉)コレステロールを減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす作用があるとされるが、専門家の指導なしに用いると危険。
コレステロール濃度の改善が期待できるほど多量に摂れば、神経過敏、頭痛、腸けいれん、悪心、下痢などの副作用が現れる。ニコチン酸は、30�ほどの摂取で顔が紅潮してかゆくなるフラッシングが起こることがある。
ただし、この症状はニコチン酸が主で、ニコチン酸アミドには見られない。
摂取方法について
必須アミノ酸であるトリプトファン60�が体内で代謝される際、1�のナイアシンが作られる。従って、体内のトリプトファンの量により、ナイアシンの量も変化する。
カツオやサバ、マグロなどの魚肉、鶏肉、レバー、豆類などからトリプトファンとして摂取できるほか、ナイアシンとしては小麦胚芽や米ぬかなどの穀物に比較的広く含まれている。
身近な食品に含まれる成分であるため、日常の食生活から適度な量を摂ることができる。
1日の推奨量は成人男性で14~15�、女性は11~12�とされており、通常の食事で摂り過ぎてしまうことはまずない。
ラクトフェリン
9.強い抗菌作用をもつことで免疫力を高める
ラクトフェリン
ウイルスに強い防御力
ラクトフェリンは、哺乳動物の乳や唾液、涙などの分泌液に含まれているタンパク質。
特に母乳に多く含まれ、抵抗力の弱い乳児を細菌やウイルスから守る働きをしている。この働きは成人に対しても同じように有効で、免疫機能強化、抗菌、抗炎症、抗がん作用などがあることがわかっている。
ラクトフェリンは、胃の中に存在するペプシンという酵素で分解され、一部はラクトフェリシンという抗菌ペプチドとなる。
この物質が悪玉菌といわれる大腸菌やO―157、ヘリコバクター・ピロリ菌、カンジダ菌などに対して強い殺菌効果を発揮する。
この抗菌作用は、最近ではC型肝炎にも効果的という研究結果もある。C型肝炎ウイルスは肝臓の細胞に入り込んで増殖していくのだが、ラクトフェリンはウイルスが肝臓の細胞に着く前に、ウイルスを包み込んで、そのまま体外へ排出させるという働きを持つという報告もある。
このようにラクトフェリンは、ウイルスに対して強大な防御力を発揮することで、免疫機能を高めていると考えられている。
また白血球の活性を高める働きもあると指摘されており、これによってがん細胞に対しても効果があると考えられている。
さらにラクトフェリンには、鉄とくっつく性質がある。
鉄分が不足しているときには腸からの鉄の吸収を促進し、逆に鉄が余っているときには鉄の吸収を抑えるように働くため、貧血気味の人には効果が期待できる。
摂取方法について
熱に弱い性質を持っているので、熱処理された牛乳などではほとんど消滅してしまうため、効果が期待できない。
ゴーダやチェダーなどのナチュラルチーズには100g中に300�程度含まれているが、食品から摂取するよりサプリメントとして摂るほうが効率がよい。
免疫力を高めたいなど、日常生活にとり入れるなら、1日500�~1.2gが目安といわれている。
ただし、牛乳に対してアレルギーのある人は控えたほうがよい。
ペプチド類
8.体内にすばやく吸収され、血圧上昇を抑える
ペプチド類(ラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチドなど)
食品由来のやさしい降圧効果
いくつかのアミノ酸が結合した物質をペプチドという。タンパク質が分解されて、1個のアミノ酸になるまでの過程で、ペプチドができる。結合したアミノ酸の数によって、2個でジペプチド、3個でトリペプチド、4個でテトラペプチド、5個でペンタペプチド、数十個でオリゴペプチド、50個以上でポリペプチドと呼ぶ。
ペプチドは消化吸収されるスピードが速く、病中、病後など体力が低下しているときでも栄養素をスムーズに体内に吸収させる。
大豆、イワシ、牛乳など由来するタンパク質の種類によってできるペプチドの種類は異なり、体内で果たす作用もそれぞれ違う。
代表的なラクトトリペプチドとは、乳から生まれた3つのアミノ酸が結合したものという意味で、VPP(バリン・プロリン・プロリン)とIPP(イソロイシン・プロリン・プロリン)の2種類がある。
消化酵素によって分解されずに腸まで届いて働くため、整腸作用を持つ。また、血管を収縮させ血圧を上げる働きに関わるACE(アンジオテンシン変換酵素)という酵素を抑えることで、血圧の上昇を抑える作用があり、特定保健用食品(トクホ)も多くある。
牛乳タンパク質の約8割を占めるカゼインが分解されてできるペプチドに、ミネラル類の吸収を高めるCPP(カゼインホスホペプチド)がある。
魚由来のペプチド類にも、同様にACE阻害作用を持つものがある。イワシから生成されるサーデンペプチドや、かつお節オリゴペプチドなどがそうだ。サーデンペプチドのバリルチロシン、かつお節オリゴペプチドのLKPNM(プロドラッグタイプペプチド)という物質が、ACE阻害に効果を発揮するといわれている。
摂取方法について
血圧上昇を抑えるために必要な摂取量の目安は、ラクトトリペプチドの場合、1日3.4�、かつお節オリゴペプチドで1.5�程度。
ただし、高血圧治療薬を服用している人は、降圧作用が増強される恐れもある。
プロテイン
7.体を作る必要不可欠の栄養素
プロテイン(乳清タンパク、大豆タンパク)
必須アミノ酸を効率よく摂取
プロテインとは、タンパク質のこと。アミノ酸が結合してできるもので、20種類のアミノ酸が結合する仕方によって、性質の違うタンパク質が無数に作られる。タンパク質は身体を構成する栄養素として必要不可欠なもので、不足すると体力や脳の働きの低下、成長障害、貧血などの症状が出てくる。
動物性と植物性のものがあり、動物性のプロテインを含む食品は、卵、肉類、牛乳など。牛乳からチーズを作り出すときにできる乳清タンパクはラクトクロブリン、ラクトアルブミン、ラクトフェリンが主成分で、必須アミノ酸をすべて含んでいるうえ、低脂肪で吸収率もよい。
この乳清タンパクは免疫機能の強化に優れ、サルモネラ菌などからの感染に強い抵抗力を持つことが知られている。
また、細胞に存在するグルタチオンという抗酸化物質を増加させる作用もある。
植物性のプロテインの代表は大豆。含硫アミノ酸は少ないが必須アミノ酸をほぼ含む優秀なタンパク質である。
免疫力の維持に効果を発揮するアルギニンを多く含む。
さらに、大豆タンパク質を構成するβ―コングリシニンという成分に中性脂肪を減らす働きがあることが最近明らかになっており、メタボリックシンドロームの予防、改善効果が期待されている。
摂取方法について
1日あたりの摂取量の目安は、体重1�に対して1~1.2gとされ、体重50�なら50~60g。
動物性プロテインと植物性プロテインを半々の割合で摂取するのが理想的である。
運動と併用して摂る場合、運動の1~2時間前、また運動後1時間くらいの摂取が効率的。
中性脂肪を減らす働きをするβ―コングリシニンの効果が期待できる摂取量は1日あたり5gとされている。
豆腐では800g~1�食べないと摂取できない量だが、プロテイン粉末を1日あたり約40g摂取すればβ―コングリシニンを5g摂ることができる。
ただし、体内で余ったプロテインは体脂肪として蓄えられるので、摂り過ぎには注意したい。
システイン
6.美白と肝臓に効果的な含硫アミノ酸
システイン
メラニンを減らし抗酸化力を発揮
システインは硫黄(S)を含むアミノ酸(含硫アミノ酸)の1つ。また、生体内の重要な抗酸化物質であるグルタチオンの主成分でもある。グルタチオンは水溶性の抗酸化物質で、薬物や毒物などさまざまな有害物質と結合し、排泄する解毒作用を持つ。
毛髪や爪などの主成分であるケラチンというタンパク質には、システインが2分子結合したシスチンが多く存在し、毛髪の生育には不可欠なものとなっている。
システインには肌の美白効果もあり、シミやソバカスを改善する医薬品に主成分として配合されている。
その美白作用の1つは、シミのもととなる色素細胞のメラニンを作り出すチロシナーゼの働きを抑えること。
さらに、皮膚の表層にある細胞を構成するケラチンの材料となり、肌のターンオーバー(表皮の新陳代謝)を促してメラニンの排出を早める作用を果たす。日焼け後の色素沈着だけでなく、老人性色素斑にも効果があるとされる。
ビタミンCはシステイン同様チロシナーゼの働きを抑え、ビタミンB6はシステインの合成を促す作用があることから、相乗効果を求めてシステインとともに配合されることが多い。
身体の代謝や解毒を受け持つ肝臓の働きが弱まると、疲労感やだるさなどを感じるようになるが、システインは肝臓の働きを助け、代謝をスムーズにすることで倦怠感を解消する。
また、二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドを分解、無毒化する働きもする。
摂取方法について
食べ物と医薬品の2つの摂取方法がある。芽キャベツ、ブロッコリーなどに含まれるが、食事で摂取できるのは微量である。
サプリメントによる補給は認められていない医薬品成分であり、医薬品としての1日の摂取量は160~240�程度とされている。ビタミンCのほか、代謝改善としてビタミンB6、パントテン酸などが配合される。
システインの分子が2つ結合したシスチンは、栄養強化目的で健康食品にも使用される。
クレアチン
5.筋肉にエネルギーを補充するアミノ酸の一種
クレアチン
アスリートの瞬発力をアシスト
クレアチンはアミノ酸の一種で、グリシン、アルギニン、メチオニンから、主に肝臓や腎臓内で合成され、ほとんどが骨格筋にクレアチンリン酸として貯蔵され、運動時のエネルギーを補充するために使われる。
その運動時に不可欠なのが、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質。ATPとは、アデノシンと3つのリン酸が結合したもので、分解される際に、1分子あたり8~10kcalものエネルギーを放出する。
この分解によってリン酸が1つ減ったADP(アデノシン二リン酸)を、ATPに再合成する際に必要なのが、クレアチンリン酸。過激な運動時にはATPが消耗するため、筋肉内ではADPを絶えず回収してATPに再合成するが(ATP回路)、最も速やかな反応物質がクレアチンリン酸で、数秒から数分でADPとリン酸を結合させてATPを再合成する。
つまり、十分なクレアチンリン酸が筋肉内に存在することにより、エネルギーの補充が可能となり、運動を続けることができるといえる。
このクレアチンリン酸によるエネルギー補充は、無酸素の条件下において行われるため、クレアチン摂取がより有効なのは、主に短距離走や重量挙げなどのような瞬発力を要するスポーツである。
なお、クレアチンを摂取すると、その分解産物であるクレアチニンの血中濃度が高くなる。その結果、尿量が増加し、腎臓や心臓に負担をかけるといわれているが、直接の因果関係は不明である。
摂取方法について
クレアチンは肉や魚から摂取することができ、一般的な生活では通常の食事で不足することはないだろう。
筋肉増強が必要なスポーツ選手の場合はサプリメントの利用が効果的である。ただし、常用していたスポーツ選手の腎臓や心臓に負担がかかるという障害報告例も実際にある。スポーツ選手といえども、トレーナーの指示のもと、目安量を守るなど摂取方法には十分に気をつけたい。
ギャバ
4.発芽玄米に豊富な癒し成分
ギャバ(GABA)
興奮を鎮め、リラックスをもたらす
ギャバは、動植物などに広く存在するアミノ酸の一種。正式名称は「γ―アミノ酪酸(Gamma-amino butyric acid)」といい、その頭文字をとってギャバ(GABA)と呼ばれている。
ヒトをはじめとする哺乳動物では、脳や脊椎など中枢神経系に多く存在し、抑制系の神経伝達物質の1つとして働き、興奮を鎮め、ストレスを緩和したり、リラックス効果をもたらす役割を果たしている。
ギャバには、脳の血流を活性化し、酸素の供給を助け、脳細胞の代謝を高める働きがある。加齢とともに減少するが、とくに脳の記憶力をつかさどる海馬での減少が著しいことから、高齢者の記憶力低下やアルツハイマー型認知症との関連が示唆されている。
また、老廃物などを血液中からろ過し、尿として排泄する腎臓の働きを活性化することで、利尿作用を促し、血圧を低下させる効果がある。この作用は、特定保健用食品(トクホ)の機能の1つとして承認されている。
このほか、肝臓の働きを活発にしてアルコール代謝を促進させたり、内臓機能を活性化して基礎代謝を高める一方、血液中のコレステロールや中性脂肪を調整することから、肥満や糖尿病の予防・改善への効果も期待されている。
ただし、こうした作用については、ギャバを豊富に含む発芽玄米としての研究報告が主で、ほかの成分との相乗効果の可能性もある。
摂取方法について
ギャバの含有量が多いことで知られる発芽玄米には、100gあたり約10�のギャバが含まれている。これは白米の約10倍に相当する。
1日の必要摂取量は10~20�程度といわれているため、日々の食事の中で白米を発芽玄米に変えることにより十分に摂取できる。
最近では、焼酎を醸造する過程でできる発酵大麦やキムチの乳酸菌などから効率よくギャバを生産する方法が考案され、サプリメントのほか、チョコレートやココア、ドリンク剤や酒類など、ギャバを添加した多くの食品が開発・販売されている。
カルニチン
3.効果的な脂肪燃焼を支える
カルニチン(L―カルニチン)
健康的なダイエットをサポート
L―カルニチンは、肝臓の中で必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成されるアミノ酸の一種。体内の脂肪燃焼とエネルギー産生とに関わっている。
脂肪には、体内に蓄積される白色脂肪細胞と、余分なカロリーを熱に換えて放出する褐色脂肪細胞とがある。褐色脂肪細胞は、生後は約100g程度あるものの、成長期に入るころから次第に減少して、成人に達するころには40g程度に減少してしまうとされている。
L―カルニチンは、この減少した褐色脂肪細胞を活性化し、リパーゼという脂肪分解酵素を分泌させる。
リパーゼには脂肪を分解し、エネルギーに変換されやすい遊離脂肪酸を作る働きがあることから、俗に「ダイエット効果がある」といわれるのである。遊離脂肪酸は筋肉細胞内のミトコンドリアで代謝されることにより、エネルギーを産生する。L―カルニチンは、遊離脂肪酸をミトコンドリア内に運搬する際にも必要不可欠な成分でもある。
L―カルニチンは加齢とともに体内での生成量が少なくなり、不足すると体重の増加、持久力の低下、疲労の蓄積といった症状が現れてくる。したがって、意識的な摂取が必要である。
また、狭心症や心不全などの症状改善、心筋梗塞発症後の合併症や死亡率の低減などへの有効性が注目されている。そのほか、抗酸化作用やLDL(悪玉)コレステロールの抑制作用もあるため、生活習慣病対策への効果が期待できる。
摂取方法について
加齢によって体内量が減少するL―カルニチンは、羊肉、鹿肉、牛肉など赤身の肉に多く含まれている。1日の摂取目安量は年代により異なるが、厚生労働省では1日あたりの摂取上限量を1000�以内と指導しているので参考にしたい。脂肪を効率よくエネルギーに換える共役リノール酸(サフラワー油などに含まれる脂肪酸)、L―カルニチンによって筋肉細胞内に運ばれた遊離脂肪酸を燃焼サイクルへとつなぐコエンザイムQ10などとともに摂取すると、より効果が高まる。
オルニチン
2.健康をサポートする多機能のアミノ酸
オルニチン
肝機能を改善、成長ホルモンを増やす
オルニチンは、タンパク質を構成しない遊離アミノ酸の一種で、必要なときすぐに働けるように、単独のアミノ酸分子のままで脂肪内や血液中を巡っている。摂取すると腸で吸収されて、肝臓や腎臓、筋肉などでさまざまな働きをする。
一般には、筋肉合成を増強するアミノ酸として知られているが、筋肉の構成成分になるのではなく、成長ホルモンの分泌を促すため、筋肉の合成を高める、といった間接的な働きをしている。米国では10年以上前から多くのアスリートたちが摂っているなどの実績も裏づけとなっている。
また火傷やけが、手術後の筋肉タンパクを増強してくれるという報告も多い。成長ホルモンは脂肪の分解にも関与するため、ホルモン分泌量が低下し、肥満が気になる中・高年期のダイエット成分としても利用される。
一方、肝臓ではアンモニアを解毒する働きもする。人体にとって有害なアンモニアは、脳に入ると脳障害を引き起こすため、水に溶けやすい尿素に変え、無毒化してから排泄するが、この働きをオルニチン回路(尿素回路)と呼ぶ。お酒の飲み過ぎのときに肝機能をサポートするのもオルニチンの働きの1つである。
そのほか、オルニチンを材料にして体内で作られるポリアミンの働きにより、美肌効果が期待されている。ポリアミンには細胞分裂を促進する作用があり、肌や髪の新陳代謝を高める。オルニチンにより顔や体のシミが改善されたとの報告もある。
摂取方法について
オルニチンはすべての生物に含まれる物質だが、食物から摂取するのは難しい。比較的多く含まれるシジミでも総オルニチン量が10~15�(100gあたり)と少ない。
したがってアルギニンなどを配合して相乗効果をうたったサプリメントを利用するのが賢明である。摂取の目安量は、1日数百�~1gだが、10~30g程度を摂取した場合でも、特に副作用はないとされている。
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